北海道、屈斜路湖。この土地では活発な火山活動によって地熱が発生し、独自の自然環境が成り立っている。冬になると白鳥が飛来し、温泉が湧き出る場所に集まり暖をとる。動物たちが厳しい環境の中でも自分たちが生活できる場所を見つけ生きのびるように、自分たちに合った環境をつくるのではなく見つける行為が「自然環境に住まう建築作法」につながらないかと考えた。
100m×100m のエリアに屈斜路湖の地熱と水の循環を利用し、外気温とは異なるゆるやかな温暖空気のよどみが生まれ「もう一つの自然環境」がつくられる。その中で自分たちの居場所を見つけ、季節の変化とともに移動する遊牧民のように、自然の時間の流れに身をゆだね暮らすことはできないだろうか・・・。僕たちは建築ではなく、刻々と変化しよどむ空気環境を設計しようと試みた。