10.08.22

喜八の出来事 16

柿渋と亜麻仁油を塗り重ねた和紙で包んだ扉。喜八の顔として丸4年。当初はブロック塀の向こうから、柿渋の赤茶色がなかなか良い面構えでしたが、近ごろはすっかり色あせ、和紙の傷みも痛々しいくらいになってきていました。
そこで一念発起。今年の盆休みに和紙の貼り替えを敢行しました。


傷みが激しい箇所だけは多少補正し、それ以外は新たな和紙ですべて包みこんでしまう作戦です。まずは真っさらな和紙に赤ベンガラと亜麻仁油を染みこませ、余分な水分を乾燥させるべく何日もかけて下準備です。小麦粉を水で溶き熱を加えながら糊を作ったら、さぁ、一気に「貼り」の作業です。
刷毛にたっぷり糊を取り紙一面に均一にのばしたら、そのまま扉へ。
あらかじめアタリをつけていた場所に当て、あとは余分なしわが寄らないように専用の刷毛のハラで貼り、先端で叩き落ちつかせます。
更に紙から水分が抜ける際のちぢみが、「ピターッ」という密着を助けるのです。郵便受けや窓、取手部分の凹凸もうまく乗り切り、一日目の作業は終了。あとは完全に乾燥してから油性ウレタンを塗り、雨などから守る構えです。今回の赤ベンガラは、柿渋に比べて茶色が濃いようですが、風雪にさらされながら少しムラが出てくるのも楽しみです。
新しい喜八の顔。
そのゆるやかな変化を楽しみつつ、どうぞ可愛がってやってください。

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